【登辞林】(登記関連用語集)


[か]

価格賠償 共有物分割の方法の一つで、共有物を一人の共有者の単独所有にする代わりに、他の共有者に対して金銭を支払う方法。裁判上の分割の場合は、現物分割が原則であるが、特段の事情があるときは、価格賠償が認められる。

書留郵便 郵便の特殊取扱の一つで、引受から配達までの郵便物の送達過程を記録し、万一、郵便物等が壊れたり、届かなかった場合に、原則として差出時申し出た損害賠償額の範囲内で実損額を賠償される。一般書留、現金書留、簡易書留の3種類がある。当日中の再配達や、休日配達、再配達の日時の指定や、郵便追跡サービスにより、インターネットでの配達状況の確認などが可能。

下級裁判所 (1)法律の定めるところにより設置される、最高裁判所の下位の裁判所(日本国憲法第76条第1項)。下級裁判所には、高等裁判所地方裁判所家庭裁判所簡易裁判所がある(裁判所法第2条第1項)。
(2)ある裁判所から見て下位の裁判所。下級審。

各階平面図 1個の建物(附属建物があるときは主たる建物と附属建物)の各階ごとの平面の形状、建物の外寸、床面積、求積などを記録した図面(不動産登記令第2条第6号、不動産登記規則第81条、第83条第1項)。建物の表題登記、合体の登記、表題部の変更・更正の登記、建物の分割・合併の登記などの申請をする際に、申請情報と併せて登記所に提供される(不動産登記令別表第12項、第13項、第14項、第16項)。各階平面図は、不動産登記規則別記第二号の様式により、日本工業規格B列4番の丈夫な用紙を用いて作成することを要し、作成の年月日を記録し、申請人が記名するとともに、その作成者が署名又は記名押印しなければならない。(不動産登記規則第74条第2項、第3項)。 誰でも手数料を納付して、写しの交付、閲覧を請求することができる(不動産登記法第121条第1項、第2項、不動産登記令第21条第1項)。

拡張子 コンピュータにおけるファイル名のうち、[.](ピリオド)より右側の部分の3〜4文字からなる文字列で、ファイルの種類を表す。テキストファイルを表す[txt]、ワードファイルを表す[doc]、エクセルファイルを表す[xls]、実行ファイルを表す[exe]、PDFファイルを表す[pdf]、画像ファイルを表す[jpg]等。

確定期日(→根抵当権の元本確定期日

確定日付 後日変更することができない確定した日付。証書は、確定日付が無ければ、第三者に対しその作成日について、完全なる証拠力を有しない(民法施行法第4条)。民法施行法では、確定日付につき、次のものを規定している(民法施行法第5条1項)。
1.証書が公正証書であるときは、その日付をもって確定日付とする。
2.登記所又は公証人役場において私署証書に日付ある印章を押捺したときは、その印章の日付をもって確定日付とする。
3.私署証書の署名者中に死亡した者がいるときは、その死亡の日より確定日付があるものとする。
4.確定日付ある証書中に私署証書を引用したときは、その証書の日付をもって引用した私署証書の確定日付とする。
5.官公署において私署証書にある事項を記入し、これに日付を記載したときは、その日付をもってその証書の確定日付とする。
6.郵便認証司が内容証明の取扱いに係る認証をしたときは、その記載した日付をもって確定日付とする(郵便法第58条第1号、第59条第1項参照)。
指名債権の譲渡における債務者への通知、又は、債務者の承諾は、確定日付ある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない(民法467条2項)。
法人が債権(金銭の支払を目的とする指名債権)を譲渡した場合において、当該債権の譲渡につき債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされたときは、当該債権の債務者以外の第三者については、民法467条 の規定による確定日付のある証書による通知があったものとみなされる。この場合において、当該登記の日付をもって確定日付とされる(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律)第4条第1項)。(→債権譲渡登記
公証人役場において、確定日付の付与を受ける際の手数料は、1件につき、700円である(公証人手数料令第37条)。

加工 民法上、他人の動産に工作を加えること。加工物の所有権は、材料の所有者に帰属するが、加工によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工物の所有権は、加工者に帰属する (民法第246条第1項)。この場合、加工者が材料の一部を提供したときは、その価格に工作によって生じた価格を加えたものが他人の材料の価格を超えるときに限って、加工者がその加工物の所有権を取得する(民法第246条第2項)。加工により損失を受けた者は、不当利得の規定に従いその償金を請求することができる(民法第248条、第703条、第704条)。(→付合)(→混和

貸金等根保証契約 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約根保証契約)であって、その債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによる債務(貸金等債務)が含まれ、保証人が個人であるもの(民法第465条の2第1項)。貸金等根保証契約は、書面又は電磁的記録により、極度額を定めなければ、その効力を生じない(民法第465条の2第1項、第446条第2項、第3項)。

家事審判官 家庭裁判所において、家事審判法に規定する事項を取り扱う裁判官家事審判法(昭和22年12月6日法律第152号)第2条)。

瑕疵担保責任 売買の目的物に隠れた瑕疵があった場合に、売主が負担すべき責任(民法第570条、第566条)。強制競売の場合には、適用されない。買主が売買の目的物の隠れた瑕疵を知らず、且つそのために契約の目的を達することができない時は、買主は隠れた瑕疵を知った時から1年以内に、契約の解除又は損害賠償の請求をすることができる。売主が瑕疵担保責任を負わない旨の特約をすることもできるが、売主が知りながら告げなかった目的物の瑕疵については、責任を負う。
商人間の売買については、特則が設けられ、買主は売買の目的物の受領後、遅滞なくその物を検査し、瑕疵、又は、数量不足があったときは、直ちに売主に通知をしなければ、それらを理由として契約の解除、代金の減額、損害賠償の請求をすることができない(商法第526条)。
宅地建物取引業者は、自らが売主となる宅地又は建物の売買において、瑕疵担保責任に関し、民法の規定より買主に不利になる特約をしてはならず、この規定に違反する特約は無効とされる。契約の解除又は損害賠償の請求をすることができる期間を、目的物の引渡しの日から2年以上とする特約は許される(宅地建物取引業法(昭和27年6月10日法律第176号)第40条)。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年6月23日法律第81号)において、新築住宅の建築の請負、又は、売買につき、柱、壁、基礎等、構造耐力上主要な部分についての瑕疵担保責任を負う期間を引渡しの時から10年とする特例が規定されており、この規定に反して、注文者又は買主に不利な特約は無効とされる(同法第94条、第95条)。
(→他人物売買)(→数量指示売買

果実 (1)一般には、食用となる植物の実。果物。生物学上は、受粉後の雌しべの子房が発達した種子を含む部分。
(2)法律上、物(元物)から生ずる経済的収益。天然果実(牛乳や鉱物等)と法定果実(利息や賃料等)とに分けられる。

過失責任の原則 加害者に故意又は過失がなければ、損害を賠償する義務を負わないとする考え方で、私人の法律関係は、私人が自由に決められるという考え方(私的自治の原則)のもとに成り立つ(民法第709条参照)。民法は、過失責任を原則としつつも、一定の場合に無過失責任を認め(民法717条参照)、又、特別法により、企業など社会的影響力の大きい者に対して無過失責任を負わせている(製造物責任法(平成6年7月1日法律第85号)第3条、鉱業法(昭和25年12月20日法律第289号)第109条)。「自己責任の原則」ともいう。(→契約自由の原則)(→不法行為

過失相殺 裁判所が、債務不履行又は不法行為による損害賠償の額を定めるにあたり、債権者(不法行為においては、被害者)の過失を考慮すること(民法第418条、第722条第2項)。民法上、債務不履行における過失相殺の考慮は、必要的であるが、不法行為における考慮は任意的である。

過剰防衛 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為ではあるが、防衛としての相当の程度を超えているため、違法性が阻却されない行為。過剰防衛による行為は、情状により、その刑が減軽され、又は免除される(刑法第36条第2項)。民法上は、不法行為となる。(→正当防衛

霞ヶ関信用組合 東京都港区西新橋二丁目5番2号。昭和27年3月1日設立。平成5年7月12日、(株)三菱銀行に合併し解散。

課税価格

課税標準金額

学校法人 私立学校の設置を目的として、私立学校法(昭和24年12月15日法律第270号)の定めるところにより設立される法人(私立学校法第3条)。
学校法人は、その設置する私立学校の教育に支障のない限り、その収益を私立学校の経営に充てるため、収益を目的とする事業を行うことができる(私立学校法第26条第1項)。学校法人は、政令の定めるところにより、登記しなければならず、登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない(私立学校法第28条)。学校法人は、その主たる事務所の所在地において政令の定めるところにより設立の登記をすることによつて成立する(私立学校法第33条)。

学校用地 不動産登記規則第99条に規定されるの土地の地目のひとつで、校舎、付属施設の敷地及び運動場を指す(不動産登記事務取扱手続準則第68条)。

合筆(がっぴつ)(→合筆(ごうひつ))

合併 (1)複数のものを合わせて一つにすること。複数のものが合わさって一つになること。
(2)会社、地方自治体等、複数の一定の種類間の法人が統合し、一つになること。会社法上は、吸収合併新設合併があり、いずれの場合であっても、消滅する会社の権利義務が、合併後存続する会社又は合併により設立された会社に、包括的に承継(一般承継)される。合併をする会社は合併契約を締結することを要し、合併契約の当事者はその会社の種類を問わない(会社法第748条、第2条1号)。
元本の確定前に根抵当権者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保し、元本の確定前に債務者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債務のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に負担する債務を担保する(民法第398条の9第1項、第2項)。
(→簡易合併)(→略式合併)(→三角合併)(→会社分割)(→株式交換)(→株式移転)(→組織変更
(3)複数の土地、又は、建物を一つのものとすること。土地の合併は、合筆の登記をすることにより行われる。

合併期日 会社法施行前旧商法において、「合併ヲ為スベキ時期」として規定されていた、合併により消滅する会社の資産・負債等が、合併により存続する会社又は設立される会社に、実質的に承継される期日(旧商法第409条第6号、第410条第5号)。旧商法上は、合併の効力発生は、合併期日ではなく、存続会社又は新設会社の本店所在地において、合併の登記をした時に生じるとされていた(旧商法第416条第1項、第102条)。会社法においては、合併の効力は、合併契約において定めた効力発生日に生じる(会社法第749条第1項第6号、第750条第1項、第751条第1項第7号、第752条第1項)。

合併交付金 会社法施行前旧商法において規定されていた、合併の際、合併により消滅する会社の株主に支払われる金銭(旧商法第409条第4号、第410条第4号)。会社法において、合併による対価は柔軟化された(会社法第749条第1項第2号参照)。

合併による所有権登記 土地の合筆又は建物の合併の登記をする場合において、合筆前の各土地又は合併前の各建物に所有権の登記があるときに、合筆の登記後存続する土地又は合併の登記後存続する建物の登記記録の甲区になされる所有権の登記(不動産登記規則第106条第1項、第107条第1項第1号、第134条第1項)。

家庭裁判所 裁判所法の規定により、
1.家事審判法に定める審判(後見人の選任、養育料の請求、遺産分割等)及び調停
2.人事訴訟(離婚の訴え認知の訴といった夫婦、親子関係をめぐる訴訟)の第一審の裁判
3.少年の保護事件の審判
4.少年法(昭和23年7月15日法律第168号)に規定する少年の福祉を害する成人の刑事事件の第一審の裁判
などを扱う下級裁判所。家庭裁判所とその支部は、地方裁判所の所在地とその支部と同所に設けられているほか、特に必要性の高いところに出張所が設けられている(下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律(昭和22年4月17日法律第63号)第3表)。
(→最高裁判所)(→高等裁判所)(→簡易裁判所

家庭裁判所調査官 各家庭裁判所及び各高等裁判所に置かれ、審判、調停、裁判等に必要な調査その他の事務を取り扱う(裁判所法第61条の2第1項、第2項)。家庭裁判所調査官は、その職務を行うについては、裁判官の命令に従う(裁判所法第61条の2第4項)。

家督相続 旧民法(第4編(親族)、第5編(相続)、明治31年6月21日法律第9号。昭和23年1月1日施行の昭和22年12月22日法律第222号により全部改正。なお、第1編(総則)、第2編(物権)、第3編(債権)は、明治29年4月27日法律第89号により公布。)に「遺産相続」とともに規定されていた相続の態様。その開始事由は、戸主の死亡だけでなく、戸主の隠居、国籍喪失、入夫の離婚などがあり(旧民法964条)、戸主を変更して、家督相続人(その順位は法定されており、通常は長男)が家を承継する制度。戸主権(扶養義務、居所指定、婚姻などへの同意などの権利義務)や祭祀(祭具、墳墓所有権など)の承継の意味が大きかったが、例外(国籍喪失を原因とする家督相続など)を除いて財産権の相続も含まれ、「遺産相続」が共同相続され得るのに対し、家督相続は常に、家督相続人が単独で、前戸主の一身専属権を除く一切の権利義務を相続した。
不動産における相続登記の原因は、「家督相続」であり、その原因日付は、家督相続の開始した日(被相続人が死亡した日とは限らない。)である。
日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律(昭和22年法律第74号)」(応急措置法)施行(昭和22年5月3日)前に開始した相続については、原則、旧民法の規定が適用される(民法附則(昭和22年12月22日法律第222号)25条1項)。応急措置法施行(昭和22年5月3日)以後から、新民法施行(昭和23年1月1日)前に開始した相続については、応急措置法の規定が適用され、同法によって修正されない事項については、旧民法が適用される。(→応急措置法による相続

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